フィリピン現地調査 環境班

はじめまして、こんにちは!
経済学部11期生の兜山竜輔です!…ちなみに「かぶとやま」と読みます。

9/15にフィリピンにおける2週間の現地調査から帰国しました。今回は私が所属しております環境班の現地調査の成果について書いていきたいと思います!

と、その前に。
こちらが我が班員たちです!

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奥) 石原、高橋、中島
手前) 真角、兜山、佐藤、平岩

私たちの班ではフィリピンにおけるごみ問題について調べ、バランガイという行政単位(村や町に相当すると考えてください)における廃棄物管理について研究しました。
特にコンポストという生ごみの堆肥化に焦点を当て、堆肥化できるものとできないものでの2分別がどのように推進されているのか調査してきました。

さて本題に移ります。

まずはじめに、トンド地区に行ってきました。
このトンド地区には、スモーキーマウンテンと呼ばれる有名なごみ山がありました。今では閉鎖されていますが、いまだにその周りには貧困の人たちが住んでいます。
今回特別にその人々が住む地域に入れてもらうことができました!

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トンド地区での全体写真。

写真の後ろに木々が生い茂る部分が見えるでしょうか?
近づいてみると…

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細かくて見えないかもしれませんが、小さな点は腐敗しなかったプラスチックです。つまり、かつてのごみ山が長い年月を経て、このようになったのです。
トンド地区では、ごみの匂いと光景、人々の貧しいながらの活気に驚かされました。

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トンド地区の子供と戯れる林先生。

次に、今回バランガイでの調査を行うにあたりカウンターパートとしてお手伝いしていただいた、ケソン市とMMDAの2組織について。

ケソン市では、バランガイでの廃棄物管理を進めるための監視制度や、廃棄物運搬の費用削減に対する報奨制度などを行っていました。
ケソン市が廃棄物に取り組まなければならない理由の一つに、最終埋立地の崩壊事故があります。同市パヤタス地区には第2のスモーキーマウンテンと呼ばれる最終埋立地があり、2000年7月に崩落事故が起き、多くの犠牲者が出ました。それをきっかけに以前より安全性の高い、衛生埋立場に建て替えられました。

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ケソン市の衛生埋立場。

しかし、こちらは間もなく閉鎖されるらしく、ケソン市内の最終埋立場はなくなるそうです。このような状況も廃棄物管理を後押しする形となっていると感じました。

MMDA(Metro Manila Development Authority)はマニラ首都圏を管轄する行政組織で、廃棄物管理の部署にはバランガイの活動を表彰するプログラムについて伺いました。このプログラムでは表彰するだけではなく、100万ペソ(約220万円)の賞金が与えられるそうです。
経済的、広報的インパクトがあり、とても効果的だと思いますが、残念ながら2015年でプロジェクト担当が異動となり、その後は開催されていないといいます。

そして、お目当てのバランガイ調査について。

私たちは、上記のプログラムで表彰された3つのバランガイに訪れることができました。
1つ目は、ポトレロ(マラボン市)。
2009年の洪水被害をきっかけに廃棄物管理を積極的になったバランガイです。
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このようにバランガイにいるコレクターが個別回収によって分別を指導し、集めていています(オレンジ色の服がコレクター)。
決して裕福ではない地域で、所得や予算に限りがある中でできる努力をして取り組んでいるのを見て、胸を打たれました。

2つ目は、ホーリースピリット(ケソン市)。
20年以上前から廃棄物管理に積極的に取り組んでいるバランガイです。
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このような庭園にて野菜や果物を栽培することで、生ごみをコンポストして作った堆肥を活用していました。ここでつくられた作物は安価で住民に販売されているそうです。住民にとってもうれしい活動ですね!
ちなみに、作物はオクラ、トウモロコシ、ナス、ネギ、マンゴーなどがありました。

3つ目は、バグンブハイ(ケソン市)。
このバランガイでは、ごみを持ち込むことで日用品と交換できるポイントがもらえる制度があり、住民に分別を意識付けるいいシステムだと感じました…が。
なんと現在はコンポストをやめて、生ごみを飼料化していました。残念ながら、このことからコンポストは分別を促進させる主因ではないと示唆され、研究の結論を大きく変える事実となりました。

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バグンブハイでの写真。

また、フィリピン大学のヴェラ・アティエンザ先生と、廃棄物管理に関して行政への指導や、知識・技術のサポートを行っているSWAPP(Solid Waste Association of the Philippines)に訪れました。廃棄物の専門家から、そしてNGOからの知見を教えていただきました。

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ヴェラ・アティエンザ先生との写真。

さらに、アティエンザ先生のご厚意でフィリピン大学近くの国際稲研究所(IRRI)へ案内していただき、博物館も一緒に巡っていただきました。廃棄物とは関係はないのですが、高校の頃にも学んでいた「緑の革命」をもたらした場所へ訪れることができ感無量でした!

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IRRIの施設にあるカフェでの写真

環境班では、計10か所で調査を行うことができ、2週間という時間にとてつもなくキチキチにアポイントメントを詰め込みました。それゆえ進行が予定通りにいかず、当惑することもありましたが、林先生や他班のサポートもあって乗り越えられました。
これからは現地調査で得たデータや知見をもとに、今年度末の完成を目指して、論文の執筆を進めていきます!がんばります!

最後に、ゲストスピーカーとしてお越しいただいた方々、そして、国内調査でお伺いした皆様によりよい現地調査に向けてご意見をいただき、知恵をお貸しいただきました。
現地での調査にご助力いただいた方々も含め、多くの方々にご協力いただき、ご厚意に深謝いたします。

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