こんにちは
経済学部3年教育班の立川貴子です。
先週、フィリピンでの現地調査を終え無事帰国しました!!
2週間と限られた時間でしたが多くの出会い、学びがあり
充実した日々を送ることができました。
今回は教育班の現地調査についてお話したいと思います。
私たちはフィリピンで行われている社会保障プログラムである4Ps を研究対象としています。4Psは貧困削減を目的とし、政府がお金を支給する代わりに、4Ps受益者はいくつかの条件を満たさなければならないというプログラムです。条件として、子供は月に85%以上学校に出席すること、月に一度健康診断を受けること、月に一度開催されるFDS(Family Development Session)に親が参加することなどがあります。
4Psの効果として子供の出席率は上昇していますが、一方で学年が上がるごとに出席率は減少しています。私たちはこの問題に着目し、出席率減少/中退率上昇の原因を明らかにすることを目的とし現地調査を実施しました。
4Ps実施機関は社会福祉開発省であり、
現地調査では社会開発福祉省のサポートのお陰で多くのアポイントメントを
取ることができました!!
訪問先としては社会福祉開発省、教育省、小学校、中学校、パヤタス地区の家庭訪問です。
またFDSの参加やチャイナタウン近辺に住む受益者にもインタビューすることができました。
・社会福祉開発省(DSWD) の訪問
DSWDの訪問ではスタッフが私たちのためにパワーポイントを用いて4Psのシステム、効果、課題、条件内容などについて詳しく教えて下さりました。
DSWDはみなさん優しい人達ばかりで、私たちの質問にも丁寧に答えて下さりました。
社会福祉開発省は4Psを実施しただけでなく、受益者と直接的な関わりを持ち、受益者のサポートを行っております。そのため受益者が中退する原因についても詳しく教えて頂けました。
・教育省の訪問
教育省は4Ps受益者の教育に関するデータを管轄しており、4Psにとって重要なステークホルダーの一つです。
中退する原因としてストレス、病気、児童労働があることや、学年が上がるごとに教育への参加は悪化しているという事実を教えて頂きました。
・小学校・中学校の訪問
小学校では3年生と5年生に、中学校では9年生(日本では中学3年生)にアンケートに協力して頂きました。主に学校に行くモチベーションについて、以前と比べて出席率は上昇したかをアンケート調査しました。
また担任の先生にもインタビュー調査を行い、中退してしまった子の理由やその後の対応についてお話を聞きました。
新たな発見として学校には教育省から派遣されるガイダンスカウンセラーがいることを知りました。彼らは4Ps受益者をモニタリングし出席率などのデータをDSWDに送っているそうです。彼らにもインタビュー調査をすることができ、中退の原因や、4Ps受益者の詳細がかかれているデータを見せて頂きました。
学校訪問では新たな発見と多くの生徒さんにアンケートに協力して頂き、沢山の情報を得ることができました。
・パヤタス地区の家庭訪問
DSWDに付き添って頂き、4Ps受益者と非受益者で中退してしまった子のいる家庭を訪問させて頂きました。みなさんアンケートに快く答えて頂き、なかには私たちのアンケートを答えるために学校を休んだという子までいました。
今回は初めて受益者だけでなく実際に中退してしまった非受益者にもアンケートを取ることができ、中退した原因を直接聞くことができました。
・FDSの参加
FDSは4Psの条件の一つであり、家族計画や子供の衛生面などについて親がレクチャーを受けるというものです。私たちの訪問期間にたまたま開催されていたため参加することができました。今回は家族計画について助産師さんがスライドを使って受益者である母親にレクチャーしていました。
FDS後、母親に直接インタビューすることができました。
多くの方が4PsやFDSに十分に満足しており、また子供の出席率も向上したとおっしゃっていました。
・チャイナタウン近辺に住む受益者
5世帯の母親、父親、子供にアンケート調査を行いました。1世帯は2012年から始まったMCCT(Modify Conditional Cash Transfer)の受益者であり、MCCTによってホームレスから脱却することができたと教えて頂きました。MCCTとはCCTでカバーすることのできないホームレスやストリートチルドレンを対象としたプログラムであり、CCTプログラムの一部です。
また他の3世帯は4Psに申請中でまだ受給されていませんでした。全国的に拡大していると思っていた4Psも本当に必要としている家庭にまだ行き届いていない現実を知ることができました。
今回は多くの方にアンケート/インタビュー調査に協力して頂き、今まで知らなかった情報を得ることができました。
私たちの研究に協力して頂いた方々には大変感謝しております。
また現地では目で見て学ぶことも多くありました。
日本と全く違う環境で驚くこともありましたが
現地調査に行くことができたからこそ
異文化に触れ、フィリピンの現状を知ることができました。
私たちがこのような貴重な経験をすることができたのは
OB・OGの方々、4年生の先輩方、ゲストスピーカーとして来てくださった方々のサポートがあったお陰です。
本当にありがとうございます。
これからこの現地調査を踏まえて論文を執筆していきます。
より良い論文を執筆できるよう班員一同で精進していきます!!
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