こんにちは。防災班の木下、吉田、深沢口、伊東です。
私たちは9月2日に国家防災庁を訪問し、総合防災政策アドバイザーの新屋孝文専門家にお話を伺いました。
お話を伺う中で、防災意識を向上させる上で、親の教育、子の教育の双方向からの教育が大事であることが分かりました。親から教えられることも、子供が受けた教育を親に伝えることもあり、防災教育は主に小学校高学年がターゲットとされています。
インドネシアでは、伝統芸能などに防災事業を組み込み、楽しみながら参加できるようにすることで防災という文化を後世に残そうというコミュニティ防災事業(FMわぃわぃ)があります。
さらにインドネシアは多民族国家なので、防災という1分野の意識の統一を図ることは難しく、このような要因が防災意識の差につながるかもしれない等の様々なお話を伺うことができました。
私たちの中で特に印象に残っていることは、インドネシアは日本と違い冬という「蓄えの季節」がないため、備蓄という概念が根付いてないのではないか、という“蟻と螽斯”の例を用いた、日本とインドネシアの防災意識の差についてのお話です。
この他にも、新屋専門家には私たちの研究に対しても貴重なご意見やアドバイスをして頂きました。私たちの研究に活かしていけるよう、これからも精進して参ります。
新屋専門家、また関係者の方々には本当にお世話になりました。誠にありがとうございました。
次に、9月8日に訪問したTeluk村、9月9日に訪問したSmang Raya村、PMI Cilegon Chapterについて報告します。
私たちは、赤十字社の方々の協力の下、インドネシア北西に位置する、Teluk村の調査に同行させていただきました。現地に到着した後に、2グループに分かれて調査させていただきました。
1グループは、赤十字の方に同行し、村に入り、村の住民にアンケート調査を行いました。
まず、村に入ると様々な洪水対策を見ることができました。中規模な村でしたが、避難のタイミングを示したポールや、手動警報装置、避難用の船など、様々な洪水対策がとられていました。
また、Teluk村の住民に洪水への対策を伺うと、文献では得られない情報を沢山得ることができました。例えば、この村では、”ゴトンロヨン”と呼ばれる相互扶助の精神を持って、排水溝の建設や、掃除等の活動をしている、ということです。
排水溝の建設に関しては、排水溝がなければ、雨が降った際等水は通り道がなく、村にあふれ出てしまうそうです。そうなることを防ぐため排水溝を作り、水の通り道を作ることで、結果として村に水が溢れ難くなったそうです。
また、村の掃除に関しては、男性が毎週金曜日に村を掃除する活動をしているそうです。この掃除は重要な役割を果たしており、この活動がなければ排水溝にごみがたまり、洪水の原因となってしまいます。
このように、Teluk村では洪水に対する防災として様々な活動を行っていました。
もう1グループは学校の集会に来ている、防災に関して高い意識を持つ住民にアンケートをとりました。このアンケートにより、ハザードマップの認知度や、各家々で行っている防災対策を知ることができました。
翌日9月9日に、赤十字社の方々の協力の下、Smang Raya村に訪問しました。
Smang Raya村では、PMIのTraining Problemによって防災の訓練を受けたCBATのメンバーの方々にお話を伺うことができました。
初めにPublic Leaderの方にお話を伺いました。実際にコミュニティ防災事業を行うことによって、コミュニティ内の防災力に大きな改善があったことがわかりました。
次に、村役場の女性にお話を伺いました。村役場の女性から、「予算が少なく、緊急の際に必要とされる食料、飲料水、その他価値物も少ない。そのために政府からの支援がある。」、「防災はとても大事なことであり、お互いに助け合うことが必要である」等の貴重なご意見をいただくことができました。
また、CBATのメンバー、女性12人に対してお話を伺いました。お話の中で、村役場の女性と同様に、やはり隣人とのつながりが大事であるという意見を頂くことができました。
私たちは、お話の後に、村役場へ連れて行っていただき、Smang Raya村で使われているハザードマップを実際に見せていただきました。
Samang Raya村を出たのち、PMI Cilegon Chapterにて中谷菜美様、Mr.Awaluddin、PMI Cligegon ChapterのHeadにお話を伺うことができました。
お話の中で、自分の近くにいるものを助けるのは当たり前のことである。
ごみが洪水の原因となっているので、男性が近隣住民と協力し村が綺麗にし、女性はその間にコーヒーや食事の準備をして、皆で協力して洪水の被害の軽減に努めている。といった様々なお話を伺うことができました。
また、中谷菜美様の「自分を守ることができないものは、誰も守ることができない」という
、私たちの研究の中で軸となるようなご意見を頂きました。
9月8日、9月9日の両日で、実際にインドネシアの村に訪問したことで、個人による災害に対する事前の備えがなかなかできない中でも、個人の防災に対する意識が低いとは一概には言えず、個人による防災対策ができない分、住民たちは協力してお互いの弱さをカバーするように、むしろコミュニティ内でより強く結び付いていることが分かりました。
また、今回の調査から災害に対する事前の備えができないなかでも、災害から自分を守り、家族を守り、ゴトンロヨンの精神をもって仲間たちを守ることができる心の豊かさを持っていることが分かりました。
赤十字の方のご協力の下、様々な調査を行うことができ、また、様々な情報を得ることができました。
中谷菜美様、Mr.Awaluddin、日本赤十字社の方々、またインドネシア赤十字社の方々には本当にお世話になりました。誠にありがとうございました。
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