フィリピン現地調査報告 保健衛生班

こんにちは。
経済学部10期保健衛生班、3年の小貫将太、大村望実、下田彩花、栩平梨沙、西村咲希です。

先週無事に現地調査を終え、帰国しました!
約2週間という限られた時間でしたが、充実した調査にすることができたかと思います!

今回は保健衛生班の現地調査についてお話ししたいと思います。

保健衛生班は、都市貧困層に対する保健所の役割の研究をユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の観点から行いました。

保健衛生班は今回の現地調査で、

保健所(Jose Fabella Health Center、Juan Posadas Health Center、Kahilum Health Center)、
CANOSSA HEALTH & SOCIAL CENTER、
フィリピン保健省(DOH)、
Philhealth、
結核予防会、
Manila Health Departmentを訪問することができました。

・保健所訪問

9月8日にJose Fabella Health Center、9月13日にJuan Posadas Health Center、9月14日にKahilum Health Center、合計3つの保健所を訪問しました。

保健所では、保険に加入してなくとも基礎的な保健医療サービスを無料で受けられます。
しかしながら、保健所に置いてない薬や薬が不足した場合は利用者負担になることもあります。

各保健所で、約16人の利用者、約8人の医療従事者へインタビューを行うことができました。

利用者へのインタビュー調査では、医療従事者の不足等による待ち時間の長さが目立ってはいましたが、利用者側からは不満の声は特に出ておらず、保健所のサービスに対する満足度は非常に高かったです。

医療従事者へのインタビュー調査では、保健所が運営していることを医療従事者がバランガイへ出向き、利用者に知らせているということを新しく知りました。バランガイは、フィリピンにおける都市の最小の単位のことで、日本でいう村と考えてください。

以上のように、保健所は基礎的な保健医療サービスを都市貧困層に対して基本的に無料で提供できてはいますが、様々な課題があることも判明しました。

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・CANOSSA HEALTH & SOCIAL CENTER

9月13日にCANOSSA HEALTH & SOCIAL CENTERを訪問しました。

私たちの研究で焦点を当てている保健所は公的な医療施設ですが、比較対象としてNGOが運営する私的な保健所を訪問しました。

CANOSSAでは、22人の利用者、8人の医療従事者へインタビューを行うことができました。

利用者へのインタビュー調査では、電子カルテを導入していたり、DOTSセンターで食事の提供を行っていたりと公的な保健所では見られなかったサービスが見られました。

保健所では、カルテは全て紙媒体で管理されていたので、資金面の違いを見ることができました。

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・フィリピン保健省(DOH)

9月9日に、保健省の保健所運営における方針や保健省のUHCにおける方針を知るためにDOHを訪問しました。

インタビュー調査では、DOHは保健分野における政策作成、技術協力、地域医療システムの改善や照会システム作り等の国全体の包括的な役割を担っているとおっしゃっていました。
また、DOHは医療機関の問題として、患者の数に対して医療従事者の数が不足しているということを認識していました。

DOHへの訪問では、都市貧困層や医療機関の具体的な数値を得ることができ、さらにはフィリピンではUHC達成に向けて様々な政策を設けていることが分かったため、帰国後さらに文献調査を行っていきたいです。

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・ Philhealth

9月9日に公的医療保険制度を運営しているPhilhealthを訪問しました。

インタビュー調査では、PhilHealthの中の貧困者プログラムの対象者はDSWDが管理している4Psの受益者名簿に記入されている人が対象であるということを新しく知りました。

今回の訪問では、PhilHealthの詳しい制度内容や、都市貧困層に対するサポート内容について知ることができたため、PhilHealthはUHC達成のためのアプローチの一つとして帰国後も考察を続けていきたいです。

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・結核予防会

9月13日に結核予防会を訪問しました。

都市貧困層にとって結核は深刻な病気であり、特に薬剤耐性結核は75%の罹患者が完治するが18か月間毎日薬を飲み続けなければいけない。(通常の結核は90%の罹患者が完治し、6か月の期間を要する。)ということを新しく知りました。

今後は、都市貧困層に対する保健所、NGOの役割について考察していきたいです。

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・Manila Health Department

9月14日にManila Health Departmentを訪問しました。

マニラ市の保健機関を管轄しているCity Health OfficeのトップであるCity Health Officerの方とお話しをさせてただく機会があり、保健所における医療従事者の異動は、その保健所のニーズに合わせているため、問題ではないなど、様々なお話しを聞かせていただきました。

今後は、Manila Health Department、DOH、保健所、PhilHealthら、ステークホルダー間の関係性を明らかにしていきたいです。

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今回の現地調査は、多くの方々のおかげで様々な機関を訪問することができました。
私たちがこれだけ多くの機関を訪問できたのは、OB・OGの方々、4年生の先輩方、ゲストスピーカーとしていらっしゃってくださった方々のサポートがあったおかげです。
私たちの調査に携わって頂いた全ての方々に大変感謝しております。

今後は今回の現地調査で獲得したデータや知見をもとに、論文執筆に入ります。
最高の論文を執筆できるように班員一同頑張っていきたいと思います。

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